PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
煥先輩が何か言いかけた。
文徳先輩が肩をすくめて口を挟んだ。
「おれも亜美も能力者じゃない。この場面は初めて経験するんだ。大都高校の彼の名前は知らない。どこかで見かけた気はするけど」
「予備校主催の模試の会場で会ったかもね。ぼくは阿里海牙、大都の三年です」
「ああ、なるほど。全国ランキング上位の常連だよな?」
「一応ね。伊呂波《いろは》文徳くんのことも聞いてますよ。ライヴ、お疲れさまでした」
長江先輩が海牙さんの肩を叩いた。
「この人、意外と強引だよ~。冷静そうに見えて、すっげぇ無茶すんの。どっちかが黒だったら、どうするつもりだった? 片方、あっさりあの世行きよ?」