PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「まあ、確かに。我ながら、感情的なことをしてしまいました。だけど、確信があったんですよ。
ぼくは願っていない。リヒちゃんが願うはずもない。お互い、十七年の人生を懸けて誓えるでしょう?」
長江先輩が腕を広げてみせる。
「誓っていいけどね。それはともかくとして、明日の昼休みも屋上に集合ね。別の話、したいし。あ、何なら、平井のおっちゃんも来ます?」
水を向けられた平井さんが微笑んで、かぶりを振った。
「私は、自分では動いてはならないからね。必要だと感じたときに、きみたちが私のところへ来なさい。それが私の役割だ」
深みのある声だった。
耳から聞こえる音だけじゃない「波長」も同時に孕《はら》む声だと、わたしは気が付いた。