PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
頭がぐるぐるする。
文徳先輩は残酷だ。わたしの想いに気付ずに、わたしと煥先輩をくっつけようとしていて、でも、そこにまったく悪意はなくて。
悲しい。泣きたい。
けれど、わたしは笑う。
「煥先輩は頼りになります。煥先輩がボディガードだなんて、ぜいたくです」
愛想笑いのお世辞。
嘘じゃないけど、お世辞。
本当は文徳先輩に守ってもらいたい。
文徳先輩の好みのタイプって言ってほしい。
わたしが好きなのは文徳先輩だ。
でも、文徳先輩の心には亜美先輩しかいない。
帰り道、煥先輩はやっぱり無言だった。