PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
母はニッコリした。
「早く次の恋に進むことね。略奪しようなんて思っちゃダメよ。略奪愛になびく程度の男なら、惚れてやる価値もないんだから」
母は強くて美人でブレない。
大学教授の父もやっぱり入り婿だけれど、おばあちゃんは最初、結婚を許さなかったらしい。
父が、おじいちゃんの会社を継がないと断言したから。
強引に結婚を押し通したのは母だった。
既成事実をつくってしまった。つまり、それがわたし。
今では家族の中にトラブルなんてない。
おじいちゃんと父は同じ立場だから仲がいいし、おばあちゃんは父の著書をよく読んでいる。
わたしは母に笑ってみせた。
「いろいろ、前向きに善処してみます」