PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
メイドさんや門衛さんに見送られて家を出た。
煥先輩が待ってくれていた。
「おはようございます、煥先輩」
煥先輩はうなずいて、わたしのカバンを持った。
歩き出して少し経ったころ、煥先輩はささやくように言った。
「一つ、訊いておく」
「何ですか?」
「あんたは、兄貴をどうしたいんだ?」
「どうしたい、って?」
煥先輩は黙っている。
「兄貴とどうなりたい?」じゃなくて、「兄貴をどうしたい?」という訊き方が冷たい。
宝珠に願いを掛けて、相応の代償を差し出せば、どんなことでも現実になる。
「わたしなんでしょうか?」