PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


失恋だと、もう理解している。


わたしはこれからこの恋を枯らすことになる。



それとも、わたし、やっぱりどうしてもあきらめきれないの?


血まみれの結婚式の未来を引き起こすのはわたしなの?



煥先輩が足を止めた。


わたしも立ち止まる。


朝の風が、そっと吹いて過ぎた。


煥先輩の銀色の髪が柔らかそうになびいて、金色の瞳がのぞいた。



「青獣珠に願ったのか? 何かを代償に差し出すと言った記憶があるか?」


「そんなことをした記憶はありません。過去の記憶は、ないです」



でも、記憶が消えた可能性もある。


未来でそれを願う可能性もある。


わたしの記憶なんて、曖昧なものでしかない。


海牙さんがやってみせたみたいな、誰の目にも明らかな検証は、わたしにはできそうにない。


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