PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
記憶をたどる。小夜子と何を話したっけ?
髪の話をして、瑪都流のライヴの話をした。
「ねえ、昨日、瑪都流のライヴ聴いてた?」
「うん、大好きなの! 昨日、鈴蘭もいたよね!」
「聴いてたよ。ファン歴はまだ浅いんだけどね」
「わたしも同じ。本当にここ数日のことなの。でも、煥さんに一目惚れしちゃった。歌声も、たった一回で大好きになった」
小夜子の目が輝いている。
「煥先輩のこと、紹介しようか?」
提案した後、自分で驚いた。
わたし、何を勝手なこと言っているの?
わたしは瑪都流の中で何の権限もないのに。