PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


植物の病気? 詳しくはわからないけれど。



中学校の正面玄関にクスノキがあった。


あるとき、一枝の葉っぱに黒い斑点ができると、やがてその一枝を発端に、斑点は木の全体に広がった。


葉っぱが落ちて枝が枯れて、仕方なくなって木を切り倒したとき、幹の中身がスカスカの空洞になっていた。



「一枝が病んでいたら、大樹が枯れる原因になる?」


「正解です、鈴蘭さん」



海牙さんが一歩、足を踏み出した。


右手がひらめいた。


黒々と輝くツルギの柄が、いつの間にか海牙さんの手に握られている。



煥先輩が腕を広げた。



「待て。説明が足りてねぇだろ」


< 245 / 555 >

この作品をシェア

pagetop