PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
植物の病気? 詳しくはわからないけれど。
中学校の正面玄関にクスノキがあった。
あるとき、一枝の葉っぱに黒い斑点ができると、やがてその一枝を発端に、斑点は木の全体に広がった。
葉っぱが落ちて枝が枯れて、仕方なくなって木を切り倒したとき、幹の中身がスカスカの空洞になっていた。
「一枝が病んでいたら、大樹が枯れる原因になる?」
「正解です、鈴蘭さん」
海牙さんが一歩、足を踏み出した。
右手がひらめいた。
黒々と輝くツルギの柄が、いつの間にか海牙さんの手に握られている。
煥先輩が腕を広げた。
「待て。説明が足りてねぇだろ」