PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
海牙さんが声をたてて笑った。
乾いた笑い声は少しも楽しそうじゃなかった。
「煥くんは、白獣珠を好きですか? 自分にチカラがあること、受け入れてます?」
「何だよ、それ?」
答えは返ってこなかった。
がっ、と鈍い音が聞こえた。
煥先輩が海牙さんの飛び蹴りを受け流したところだった。
海牙さんの突進は速すぎて、わたしには見えなかった。
わたしは思わず後ずさる。
煥先輩と海牙さんが戦っている。
二人の息遣いが聞こえるくらい近いのに、動きを目で追えない。