PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
海牙さんの動きは、しなやかすぎて速すぎる。
力学《フィジックス》のチカラによって計算し尽くされた動きだ。
応戦する煥先輩も、当然ながら凄まじく速い。
「そこをどいてもらえませんか?」
「断る」
「先にきみを刺しますよ」
「やれるもんなら、やれよ」
わたしはへたり込んだ。
「どうして……」
海牙さんがツルギを振るう理由はわかる。
わたしを刺せば役割を果たせると考えているからだ。
そうじゃないとしても、さっさと仮説を検証するには、疑わしい人を殺してみるのが手っ取り早い。
わたしもそれは理解している。
煥先輩がわたしをかばう理由こそ、わからない。
海牙さんは十分に説明してくれたと思う。
海牙さんがわたしを疑うのも、ちゃんと筋が通っている。
それに、煥先輩、わたしのこと嫌いでしょう?