PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―



ドギマギするわたしには目をくれずに、煥先輩はつぶやいた。



「あいつ、なんか必死だったな。本気で斬り掛かってきやがった」



海牙さんを心配しているみたいだ、と思った。


煥先輩って、全然笑わないけれど、本当はとても優しい人なのかもしれない。



「煥先輩、どうしてわたしをかばったんですか?」


「そうすると決めたから」


「でも」


「刺されてみたいなら、オレが刺してやる。その覚悟が決まらねぇなら、無理強いしねえ。それだけだ」



わたしが違反者だと思っているのか、いないのか。


仮にわたしが違反者だとしても、関係ないのか。


煥先輩の言葉はシンプルすぎて、何を考えているのかわからない。


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