PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「だけど! 煥さんって、本当は優しい人ですよねっ? 歌を聴いてたらわかります。すごくピュアで優しいです!」
そこまで断言できる小夜子がすごい。
確かに、煥先輩はケンカが強くて無愛想なだけの人ではないけれど、感情がわかりづらくてミステリアスで、接し方がわからない。
文徳先輩は部室の中を指差した。
「小夜子さん、だっけ? 煥はもうしばらく来ないと思う。よかったら、中で待ってて。ついでに練習を見学していく?」
「いいんですか!」
「今日だけ、特別にね。鈴蘭さんも一緒にどう?」
文徳先輩のお誘いがあって、小夜子も「一緒にいたい」と言ってくれて、わたしは瑪都流の練習を見学することにした。