PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「でも、今日もまた夜更かしだな。予習とか課題とか多くて、終わらないよね」
「鈴蘭、ごめんね。わたしのわがままに付き合わせちゃって」
「あ、ううん、平気。わたしも見学してみたかったし」
「だったらいいんだけど。でも、課題の多さはすごいよね」
「みんなSNSでうまく情報交換してるでしょ? わたし、あれできなくて」
「鈴蘭、スマホじゃないケータイだもんね」
「必死でメールだけ覚えたの。それ以外、ほんとにできないの」
「メールだけって、むしろ珍しくない?」
「子どものころにおばあちゃんから叩き込まれて、それっきり進歩できてないんですー」
「スマホやパソコンのほうが簡単だと思うけどな」
楽器が音出しを始めると、かなりの音量だった。
小夜子との会話もままならない。
音の大きさに慣れるまでに、しばらくかかった。