PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


ドアが開いた。


煥先輩だ。



銀髪の姿がのぞいた途端、小夜子が椅子から立った。


口元を押さえて、みるみるうちに赤くなる。


煥先輩はドアを閉めながらこっちを見て、怪訝《けげん》そうな顔をした。


文徳先輩がギターをスタンドに立てた。


ほかのメンバーも音を止める。



文徳先輩がわたしに目配せした。


わたしは小夜子の背中を押すけれど、小夜子は固まっている。


しょうがないから、わたしは小夜子の手を引っ張って、煥先輩のところへ連れていった。



「煥先輩、紹介します。この子は、同じクラスの玉宮小夜子。瑪都流のファンで、煥先輩の大ファンだそうです」


「す、鈴蘭っ」


「ほんとのことでしょ?」


「で、でも、本人の前でそんな……」


「はい頑張って!」


< 266 / 555 >

この作品をシェア

pagetop