PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
ドアが開いた。
煥先輩だ。
銀髪の姿がのぞいた途端、小夜子が椅子から立った。
口元を押さえて、みるみるうちに赤くなる。
煥先輩はドアを閉めながらこっちを見て、怪訝《けげん》そうな顔をした。
文徳先輩がギターをスタンドに立てた。
ほかのメンバーも音を止める。
文徳先輩がわたしに目配せした。
わたしは小夜子の背中を押すけれど、小夜子は固まっている。
しょうがないから、わたしは小夜子の手を引っ張って、煥先輩のところへ連れていった。
「煥先輩、紹介します。この子は、同じクラスの玉宮小夜子。瑪都流のファンで、煥先輩の大ファンだそうです」
「す、鈴蘭っ」
「ほんとのことでしょ?」
「で、でも、本人の前でそんな……」
「はい頑張って!」