PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―

わたしは小夜子を煥先輩の真正面に押し出した。


小夜子がチラッと振り返る。


真っ赤な顔で、うるうるの目。


盛大に、恋する乙女しちゃってる。



小夜子が煥先輩に向き直った。



「お、お会いするのは初めてですね。勝手に一方的に、見つめてたんですけれども。わ、わたし、玉宮小夜子ですっ。

高一で、十五歳で、えっと……か、彼氏はいませんっ。一人もいないです、いたことないです!」



ヒュウ、と雄先輩が口笛を吹いた。


牛富先輩が声を殺して笑っている。



煥先輩が、見せたことのない表情をした。


眉根を寄せて目をパチパチさせて、中途半端に口を開いたまま、顔がだんだん赤くなってくる。


明らかに困っている。



「ど、どうして、オレなんか……」



煥先輩、その質問、地雷です。


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