PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
小夜子が煥先輩に詰め寄った。
「駅前でのライヴ、ステキでした! 煥さんの声、一瞬で好きになりました。煥さんの姿にも、一瞬で惹かれました。もう、カッコよすぎます! 大好きです!」
小夜子は勢いよく言い切った。
言った後で、バッと口を覆った。
悲鳴をあげてわたしに抱き付く。
「ちょっと、小夜子?」
「きゃぁぁぁ、勢い余りすぎたよぉぉぉ!」
「今の、事故?」
小夜子がガクガクうなずく。
瑪都流のメンバーが笑い出した。
煥先輩だけ、真っ赤な顔で取り残されている。
煥先輩はわたしと目が合うと、そっぽを向いた。
小夜子のサラサラの髪は、とてもいい香りがした。