PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
亜美先輩と牛富先輩が、提案されたリズムフレーズを合わせてみる。
文徳先輩が雄先輩のシンセサイザーの音色に指示を出す。
煥先輩はイヤフォンを付けて目を閉じて、歌の世界に入っていく。
しばらくそんな時間が流れた。
それぞれの楽器が自分の音色を確かめながら、次第にゆるゆると、誰からともなく歩み寄っていく。
煥先輩がイヤフォンを外した。
アイコンタクトが飛び交った。
文徳先輩がキャッチ―なフレーズを弾き始めて、それが合図だった。
曲が始まった。
瑪都流の結成当時から演奏してきた、と昨日のライヴで聞いた曲だ。
文徳先輩が初めて作曲して、煥先輩が初めて詞を書いた思い出の唄《うた》だという。