PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
逆だと思った。
わたしが相手を信用することより、みんながわたしを信用することのほうが難しい。
「長江先輩、ハッキリ言ってください。簡単な消去法でしょう? わたしが排除されれば……」
わたしが認めてしまえばいい。
わたしが殺されれば、それでおしまい。
病んだ一枝は、もとどおりになるはず。
長江先輩が海牙さんを見た。
海牙さんは肩をすくめた。
長江先輩が、ふぅっと息をつく。
「んじゃ、ハッキリ言うけど、人を殺すのはイヤだ。おれは未遂だけど、それでも十分にイヤだった。
刺した瞬間の手応えとか、朱獣珠の拒絶反応とか、二度と味わいたくないね」