PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
わたしはあせりながら、まだ言えずにいたお礼を口にした。
「あ、煥先輩、た、助けていただいて、ありがとうございました」
沈黙。
風の音。
わたしは審判を待つ気持ちで、そっと煥先輩を見上げた。
煥先輩は考え込むような様子で、大きな手で口元を隠していた。
「あの未来は、起こらない」
手のひら越しに転がされた言葉は平坦だった。
銀髪の間からのぞく肌は、少しも赤くなっていない。
「どういう意味ですか?」