PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「理仁も海牙も、もう誰も刺す気がない。だから、今日の夜、あんたは公園で刺されない。
おれがあんたの傷を癒やすという一枝は消えた。最初から存在しないことになったんだ。だから、ノーカウントだろ」
わたしは冷水を浴びせられた気分になる。
胸のドキドキが急速に引いていく。
「ノーカウント……」
煥先輩は両手をポケットに突っ込んで、校舎に続くドアへと歩き出した。
その背中が、感情のこもらない言葉をわたしへと放り投げる。
「キスは、しないんだ。オレが相手じゃなくて、よかったな」
「え……あ、煥先輩、待って」
「あんたは、兄貴みてぇなのが好きなんだろ?」