PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


昼休み終了のチャイムが鳴った。


いつの間に、そんなに経っていたんだろう?


わたしは屋上で立ち尽くしたままだった。


涙も出てこない。



今のわたしの心の中でいちばん大きな存在が誰なのか、ハッキリしている。



最初に四月十五日が始まったとき、わたしは文徳先輩に恋をしていた。


いつ変わったんだろう?



「煥先輩のことが好き……」



守ってくれる。


どうしてわたしなんかを? 何度尋ねても、直感としか答えてくれない。


つまり、無条件にわたしを信じてくれている。



わたし自身、わたしのことを信用できない。


それなのに、煥先輩は。



だから、煥先輩は残酷なんだ。


わたしの命を救ってくれた。


そのせいで刺された。


途方もない優しさと強さを目の前で見せられた。



でも、煥先輩。


あなたは、わたしじゃなくても守ったんでしょう?


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