PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


本館の階段を下り始めたところで、思いがけず呼び止められた。



「鈴蘭! どうしたの! なんか、ものすごくフラフラしてるよ?」


「小夜子……」


「授業、受けられる? 保健室に行ったほうがいいんじゃない?」



大丈夫、と言えたらいいけれど、さすがに全然、大丈夫なんかじゃない。


わたしは小夜子から顔を背けた。


今、小夜子と目を合わせるのはつらい。



ごめん、小夜子。


わたしも同じだから。


煥先輩のことが好きだから。



「保健室、行くね」


「一人で行ける?」


「うん、小夜子は教室に戻って」



放課後、ごめんね。


小夜子を煥先輩に紹介できない。


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