PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「親父は無能だよ。朱獣珠に願いを掛けるだけの能しかない」
「朱獣珠に、願いを?」
「学園をデカくしたのは、朱獣珠のチカラだ。会計が破綻しかけるたびに、指導者の確保に失敗するたびに、生徒が大問題を起こすたびに、
要は何かのトラブルが発生するたびに、親父は朱獣珠のチカラを使ってきた。代償は、ペットの命」
「嘘……」
「いや、逆だね。朱獣珠の代償にするためにペットがうちにいたんだ」
願いの代償として最も価値が重いものは何か。
平井さんがその問いを出したとき、長江先輩は即座に正しい答えを示した。
命、と。
実際に見てきたから知っていたんだ。