PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「おれね、動物、好きなんだよね。ペット、かわいがっちゃうんだ。次もすぐ死んじゃうってわかってても。
でね、ペットだけじゃなくて、おれの母親も代償になったんだよね。母親は今、意識不明の寝たきり状態」
長江先輩の朱い瞳に、暗い光がともっている。
怒りなのか、悲しみなのか、憎しみなのか。
その感情を知らないわたしには、読み取れない。
「さすがに怖くなるよね。おれも姉貴も、国外に逃げてさ、フランス滞在一年間。このまま平和に過ごせるかなって思ってた。
でも親父は、今度は海ちゃんに目を付けた。二ヶ月くらい前にそれがわかって、慌てて帰国して、海ちゃんに初めて会ったのは一ヶ月前」