PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
文徳先輩が軽音部室の鍵を開ける。
その背中をぼんやりと見ていたら、突然、後ろから声をかけられた。
「鈴蘭?」
ビクリとして振り返る。
「小夜子……」
「よかったー、やっぱり鈴蘭だった!」
「どうしてここに?」
「あのね、鈴蘭のカバン、届けに来たの」
小夜子は、二つ持ったカバンのうちの片方をわたしに差し出した。
わたしはカバンを受け取った。
中を開けると、確かにわたしのだ。
「あ、ありがとう」
小夜子はホッとした様子で微笑んだ。
「鈴蘭が保健室にも教室にもいなくて、探したんだよ。普通科の寧々ちゃんって子から、放課後は図書室にいるはずって聞いて、こっちの棟に来てみたところ。
図書室、この先でしょ?」