PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
そのときだった。
ドアが開いて、煥先輩が部屋に入ってきた。
小夜子が椅子から立った。
亜美先輩が演奏を止めた。
牛富先輩もパソコンの音を消す。
文徳先輩が、ホッとした顔を見せた。
「やっと来たか。どこに雲隠れしてた?」
「いつもの場所だよ」
「歌えるのか?」
「一応」
「お客さんが来てるぞ。おまえのファンなんだって」
煥先輩が小夜子を見る。
小夜子は煥先輩に駆け寄った。
「お会いできてよかったです! 今日、来られないかもしれないって聞いてたから」
「約束がある。勝手に帰れねぇんだ」