PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
煥先輩の視線がわたしをとらえた。
約束って、わたしの護衛のこと?
小夜子は煥先輩を見つめている。
煥先輩はわたしからも小夜子からも顔を背けて、文徳先輩に言った。
「兄貴、とりあえず一曲、合わせたい」
煥先輩はさっさとマイクの準備にかかった。
わたしは小夜子の手を引いた。
「座って聴いてよう?」
小夜子はわたしの手を振り払った。
部屋の隅の椅子に、黙って腰掛ける。
前のときとは空気が違う。
あのときは楽しかった。
笑ったり、からかったり、騒いだり、小学生みたいな瑪都流の姿を目撃した。
亜美先輩から、子どものころの煥先輩の話を聞いた。