PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


煥先輩の視線がわたしをとらえた。


約束って、わたしの護衛のこと?



小夜子は煥先輩を見つめている。


煥先輩はわたしからも小夜子からも顔を背けて、文徳先輩に言った。



「兄貴、とりあえず一曲、合わせたい」



煥先輩はさっさとマイクの準備にかかった。


わたしは小夜子の手を引いた。



「座って聴いてよう?」



小夜子はわたしの手を振り払った。


部屋の隅の椅子に、黙って腰掛ける。



前のときとは空気が違う。


あのときは楽しかった。


笑ったり、からかったり、騒いだり、小学生みたいな瑪都流の姿を目撃した。


亜美先輩から、子どものころの煥先輩の話を聞いた。


< 367 / 555 >

この作品をシェア

pagetop