PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
煥先輩のマイクの準備が整う。
文徳先輩が煥先輩に訊いた。
「いきなりいけるのか?」
「勇者シリーズだったらいける」
「了解、どっちにする?」
「プロローグのほう」
中学生時代、瑪都流が結成して最初にできた曲が『ブレイヴプロローグ』。
いちばんやり込んだ曲だと、文徳先輩が言っていた。
4カウントも取らず完璧に呼吸を合わせて、いきなり演奏が始まった。
煥先輩が歌う。
がむしゃらな少年の顔をして叫ぶ。
曲に入り込んだ表情だ。
『ブレイヴプロローグ』の演奏を終えて、次は『ビターナイトメッセージ』。
さっきの仕切り直しだ。