PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
不意に、わたしは思い出した。
煥先輩の呆然とした目を、昼休みにも見た。
ブルームーンじゃないのか、と煥先輩はつぶやいた。
ケータイの連絡先を交換したとき、わたしのアドレスを知ったときのことだ。
ブルームーン? 青い月?
歌えない理由とメールアドレスに何か関係があるの?
そういえば、『ビターナイトメッセージ』のタイトル、仮に付けられていたのも『ディア・ブルームーン』だった。
それに、もっと前にも一度、煥先輩は月というモチーフに大きな反応を見せたことがある。
路地での巻き戻しを経験した後の放課後、初めて一緒に帰ることになったときだ。
煥先輩はわたしのアミュレットに驚いていた。
月のモチーフで、青い石が付いたアミュレットだ。