PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
どうして煥先輩は青い月にこだわるんだろう?
なかなか完成しなかった歌詞の、最後の一ピース。
そのフレーズはどこから来たんだろう?
煥先輩はマイクの片付けを始めた。
文徳先輩がギターをスタンドに立てて、煥先輩の肩に手を載せた。
「背負い込むなよ。気晴らしに、バイク走らせてきたらどうだ?」
「そうしようと思ってた」
「道は選べよ。春先は警察がうるさい」
「わかってる」
煥先輩は瑪都流のメンバーに小声で謝った。
亜美先輩が肩をすくめて、牛富先輩はニッコリ笑って、雄先輩は手を振った。
煥先輩がわたしを振り返った。
「帰るぞ」