PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


無言の帰り道はひどく長かった。


煥先輩が先頭、その後ろに小夜子、半歩遅れてわたし。


小夜子は何度か煥先輩に話しかけた。


でも、煥先輩は最低限の返事しかしない。



無口な人なんだって思い出した。


優しくて強い言葉をいくつももらったせいで、煥先輩からおしゃべりを引き出すのが難しいことを、わたしは忘れていた。



玉宮駅が見えてきた。


嫦娥公園はそのすぐそばだ。


まもなく小夜子と別れることになる。



しばらく黙っていた小夜子が少し走って、煥先輩に追い付いた。



「あのっ、煥さん」


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