PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
小夜子が煥先輩の肘のあたりに触れようと手を伸ばした瞬間、パシッ、と鋭く短い音がした。
小夜子が立ち尽くす。
煥先輩がハッと顔を上げた。
「バカ。いきなり触れようとするな。条件反射で、振り払っちまう」
「ご、ごめんなさい」
「いや……すまん。痛かっただろ?」
小夜子は微笑んで、胸の前で右手を左手に包んだ。
「平気です。驚かせて、すみませんでした。初めて煥さんに触れてもらえましたね。嬉しいです」
煥先輩は眉をひそめた。
「そんなの、喜ぶなよ。手、出せ」
「え?」
小夜子が目を見張った。
煥先輩が右手を差し出している。