PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「いきなりじゃなけりゃ、平気だから。手を握るくらいなら」
広い手のひら。長い指。
出っ張った関節の形。
正方形に近い爪の形。
その手がわたしに触れてくれたことがある。
抱きしめてくれたこともある。
でも、触れていいって、握っていいって、そんなふうに差し出されたことはない。
悔しさが胸を支配する。
小夜子のほっそりした右手は、わたしの手とは違う形で、わたしの手よりキレイで大人っぽい。
小夜子の手が、煥先輩の手に触れた。
手と手がそっと握り合った。
「すごく、嬉しいです」
小夜子がうっとりとささやいた。