PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「その答えは『秘録』を読んだらわかるんですか?」
「わかる部分もある。わからない部分もある。読まないよりは、読むほうがいい。特に、四獣珠がツルギに姿を変えた今、登場人物の姿を知っておく必要があるだろうね」
ノートの文字を目で追ってみる。
漢文を書き下しただけの古い文体だから、文章の意味は、すんなりとは頭に入ってこない。
「海牙さんは自分で苦労したのに、わたしは海牙さんのノートを見せてもらう。ずるいですよね、わたし」
「そうかもね。しかし、海牙くんは理仁くんをずるいと言っていたよ。理仁くんは、ほんの一日で『秘録』を読んだから」
「一日で?」