PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


「理仁くんの能力は言語優勢だから、聞くと読むは得意らしいんだ。テレパシーを受信するようなものだよ」


そういえば、屋上でもその話をしていた。


目の前の漢文を眺める。


こんな凄まじい密度の漢字の連なりからテレパシーを受け取れるなんて。


長江先輩のチカラって普通にすごい。



「わたし、読んでみます」


「そうするといい。話したいときには、いつでもおいで。私に連絡する必要はない。私はすべてを感知できるから」



わたしは改めて、平井さんを見つめた。


穏やかな表情をしている。


あたりは薄暗いのに、目が焼けそうな錯覚に陥《おちい》る。


昼間の太陽を直視するみたい。


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