PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
ふわりと、小夜子の体が地面から浮き上がる。
圧倒的なチカラが、小夜子から立ち上っている。
暴風みたいな波動が吹き付けてくる。
小夜子はツルギの柄を両手で握った。
その体もツルギも低い宙に浮いて、まるで羽根のように、重さを感じさせない。
煥先輩はいつの間にか、純白の刃を備えた短剣を手にしていた。
「あんたは何者なんだ?」
小夜子が、とろけそうな笑顔を煥先輩に向けた。
「わたしはあなたに恋をしているだけ」
「何を言ってんだ」
「ブルームーンより、願いを込めて。歌うあなたに、幸運な未来を」
煥先輩は切れ長な目を見開いた。