PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―

「“青い月”なら歌えると思った」



気付いたとき、夜の公園だった。


わたしは地面にへたり込んでいる。


お尻と脚が冷たい。


血の匂いがした。


わたしの制服の胸が血で汚れている。



見上げると、煥《あきら》先輩の背中がある。


煥先輩の正面に、海牙さんが立ち尽くしている。



長江先輩がわたしに手を差し出した。



「あっきーが刺される場面だね。鈴蘭ちゃん、制服汚してごめん。傷はふさがっても、服はそのままだよね」



わたしは長江先輩に手を引かれて立った。



煥先輩のブレザーもシャツも赤く汚れている。


わたしと煥先輩の目が合った。


煥先輩は、パッと自分の唇を押さえてそっぽを向いた。



わたしが傷を負って、煥先輩が傷を治してくれた。


この場面は、キスをした後だ。


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