PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「月がキレイですね、煥さん」
夜道を学校へ向かうなんて、何だか不思議な感じがした。
小夜子のメールを受信してから二十分。
できるだけ急いで歩いて、学校に着いた。
わたしがいなければ、もっと速かっただろうけど。
校門は閉ざされて、校舎の明かりもすべて消えている。
長江先輩が顔をしかめた。
「何で真っ暗なわけ?」
「最終下校時刻、過ぎてますよ」
「そりゃ、生徒は帰っちゃってるよ。でも、教職員はまだ残ってなきゃおかしい。二十時台前半に全員いないなんて、あり得ない」
クスクスと、笑い声が聞こえた。
【わたしが全員、帰らせたの】
小夜子の声が頭の中で反響する。