PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


海牙さんは平然と言い放った。



「登りましょう」


「オレは行けるが」



煥先輩はわたしと長江先輩を見た。


わたしも長江先輩も、ぶんぶんと首を左右に振る。



「無理です!」


「登りにくいように設計されてんだよ、これ」



海牙さんがバックステップを踏んだ。



「じゃあ、蹴破ります」


「海ちゃん、ちょい待ち、破壊すんの禁止! おれ、裏門の鍵、持ってるから!」


「早く言ってくださいよ」


「言う隙がどこにあった? 海ちゃんってアグレッシブだよね。肉食系でしょ、実は」


「さあ?」



長江先輩は何種類もの鍵を持っていた。裏門、生徒玄関、職員室や理事長室。


まずは裏門から学園の敷地に入る。


< 447 / 555 >

この作品をシェア

pagetop