PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
海牙さんは平然と言い放った。
「登りましょう」
「オレは行けるが」
煥先輩はわたしと長江先輩を見た。
わたしも長江先輩も、ぶんぶんと首を左右に振る。
「無理です!」
「登りにくいように設計されてんだよ、これ」
海牙さんがバックステップを踏んだ。
「じゃあ、蹴破ります」
「海ちゃん、ちょい待ち、破壊すんの禁止! おれ、裏門の鍵、持ってるから!」
「早く言ってくださいよ」
「言う隙がどこにあった? 海ちゃんってアグレッシブだよね。肉食系でしょ、実は」
「さあ?」
長江先輩は何種類もの鍵を持っていた。裏門、生徒玄関、職員室や理事長室。
まずは裏門から学園の敷地に入る。