PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「白獣珠がオレに戦えと言ってる」
「石に命じられるから戦うんですか? たったそれだけの理由で?」
「オレは、自分のチカラの意味も、白獣珠を預かる意味も、人と違う在り方に生まれついた意味も知らない。わからないまま生きるしかないと思ってた。
でも今、白獣珠がオレに役割を示してる。それを果たせば、オレが生まれた意味もわかるかもしれねえ。だから戦う」
「チカラなんてあってもなくても、煥さんは、煥さんです。世界でただ一人の、わたしの大事な人。
あなたには、戦いよりも歌が似合います。わたしはあなたと戦いたくない」
煥先輩が小夜子の手首を離した。
半歩、下がる。
ツルギを振るう間合いを取ろうとして。