PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
わたしはツルギを掲げた。
渦巻く風が起こる。風を小夜子に叩き付ける。
風に舞う花びらが小夜子の視界を阻《はば》む。
海牙さんが髪を掻きむしった。
「意味がわからない! 大気中の分子運動が突然活発化するとか限定的な乱気流を発生させるとか花弁様のプリズムを意図的に作り出すとか、
物理学の常識を何だと思ってるんですか!」
「あ~、そのへん考えちゃ負けだよ」
「ええ、考えません。体だけ動かします!」
海牙さんがコンクリートの床を蹴った。
計算された無駄のない動き。
黒いツルギで、小夜子に斬り掛かる。