PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「奇遇ね。本気を出してないのはわたしも同じよ」
小夜子を中心に、ぶわりと空気が膨れ上がった。
悪寒。イヤな予感が背筋を駆け抜ける。
それが起こるより一瞬早く、異変を察した海牙さんが跳び離れた。
無音で空気が爆発した。
無傷の小夜子を起点として、爆風が放射される。
とっさに突き出したツルギが、わたしの前に防護壁を作った。
嵐の中の大木のウロのような空間。
爆風が収まる。
体のあちこちが痛い。
小さな切り傷から血が流れている。
伏せていた長江先輩が顔を上げた。
「かまいたち的な何か、かな?」
長江先輩の頬にも額にも傷がある。
転がって受け身を取った海牙さんはもっとひどい。