PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
小夜子が本気を出せば、わたしたちを殺すなんて、きっと一瞬でできる。
だけど、小夜子はそれをしない。
小夜子の顔に笑みがある。満月がその美貌を照らし出す。
長江先輩が海牙さんに駆け寄る。
「海ちゃん、大丈夫?」
「折れている箇所はありません。まだ動けます」
「折れてないだけで満身創痍ってわけね」
小夜子がツルギを振り上げて、振り下ろした。
衝撃波が長江先輩と海牙さんを襲う。
朱いツルギの熱波が衝撃波をはじく。
「煥くんの障壁《ガード》がほしいですね」
「相殺すんのミスったら死ぬよね」
乱発される衝撃波。
防御壁ではない熱波では、一撃ごとに心臓が縮み上がる思いだ。
長江先輩が肩で息をしている。