PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
小夜子が、震える声で告げた。
「煥さんが好きです。どうしようもないくらい好きです」
わたしは泣きたくなった。怖くなった。
わたしは煥先輩に何も告げていない。でも、小夜子は。
煥先輩はかすかに、かぶりを振った。
銀色が揺れた。
「あんたはオレに何を望むんだ?」
小夜子はキラキラする目を上げて、夜空を仰いだ。
「煥さんを手に入れたい。声も、体も、命も、心も、全部。煥さんの全部がほしい」
迷いのない言葉だった。
小夜子が手にするツルギが月光に輝く。
煥先輩が吐息のように言った。
「できねぇよ」
「イヤです」
「オレは、オレのモノだ」