PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


  眠れないまま明けた朝

  空の端の夜の尻尾を

  つかんで引き戻したい位

  闇に馴染んだ目が痛い



小夜子が、呼吸すら忘れたような、歌声に全部を奪われたような顔をしている。


ずるい。煥先輩はずるい。


何も考えていないんだと思う。


戦略的な意図があるんじゃなくて、ただ小夜子に聴かせたいだけ。


自分はどうしようもねぇモノなんだ、って。



  焦ったり妬んだり僻んだり怒ったり

  醜い感情程 それはもう 鮮やかに

  僕の中に息づいて 僕の形してるから



その声が、その歌が、その言葉が、醜いはずのあなたに、小夜子の心を惹き付ける。


わたしの心を惹き付ける。


< 487 / 555 >

この作品をシェア

pagetop