PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
眠れないまま明けた朝
空の端の夜の尻尾を
つかんで引き戻したい位
闇に馴染んだ目が痛い
小夜子が、呼吸すら忘れたような、歌声に全部を奪われたような顔をしている。
ずるい。煥先輩はずるい。
何も考えていないんだと思う。
戦略的な意図があるんじゃなくて、ただ小夜子に聴かせたいだけ。
自分はどうしようもねぇモノなんだ、って。
焦ったり妬んだり僻んだり怒ったり
醜い感情程 それはもう 鮮やかに
僕の中に息づいて 僕の形してるから
その声が、その歌が、その言葉が、醜いはずのあなたに、小夜子の心を惹き付ける。
わたしの心を惹き付ける。