PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
「でも、あなたはわたしを否定しました」
「あんたを否定したんじゃなくて、あんたの選択を否定したんだ。誰だって、おかしな間違いを仕出かすことくらい、あるだろ。
そんなんでいちいち人を否定したり嫌ったりしてたら、生きづらくてしょうがねえ。鈴蘭も」
いきなり名前を呼ばれて、わたしは息を呑んだ。
「な、何ですか?」
「オレはあんたを嫌ったことなんかない。亜美さんの件では腹が立ったけど、そんだけだ。引きずってねぇよ」
わたしは泣きたくなった。
小夜子も泣きそうな顔をしていた。
少しの間、誰も何も言わなかった。
やがて、煥先輩が沈黙を埋めた。
ツルギの切っ先を小夜子に据えたまま、煥先輩は、透明な声で突き放した。
「不死《エターニティ》にしがみつくなよ。手放せばいいだろ、そんなもん。終わりがあるから、人は必死になれる。
あんたがどうしても迷うってんなら、オレがやってやる」