PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


ああ、と長江先輩が顔をしかめた。



「あっきー、それを願うつもり?」


「理仁《りひと》は反対か?」


「いや……やっていい。やる価値はあると思うよ」



ザワッと、背筋が粟立った。


悪寒の正体は、ハッキリとはわからない。


でも、煥先輩の横顔から覚悟が見て取れる。


決意が必要なことをしようとしている。



「煥先輩、何をするつもりなんですか?」



一瞬、煥先輩はわたしを見た。


金色の視線はすぐに小夜子へと戻された。



「失敗したら、そのときはオレが全部、背負う」


「役割を果たすんですか? 煥先輩がやるの?」



小夜子が張り詰めた目をしている。


大好きな人にツルギを向けられて、小夜子は追い詰められて声もない。


< 494 / 555 >

この作品をシェア

pagetop