PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
ああ、と長江先輩が顔をしかめた。
「あっきー、それを願うつもり?」
「理仁《りひと》は反対か?」
「いや……やっていい。やる価値はあると思うよ」
ザワッと、背筋が粟立った。
悪寒の正体は、ハッキリとはわからない。
でも、煥先輩の横顔から覚悟が見て取れる。
決意が必要なことをしようとしている。
「煥先輩、何をするつもりなんですか?」
一瞬、煥先輩はわたしを見た。
金色の視線はすぐに小夜子へと戻された。
「失敗したら、そのときはオレが全部、背負う」
「役割を果たすんですか? 煥先輩がやるの?」
小夜子が張り詰めた目をしている。
大好きな人にツルギを向けられて、小夜子は追い詰められて声もない。