PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―


煥先輩が、ささやく声に願いを込めた。



「月聖珠に願う。オレの声に応えろ」



月が、一条の光を煥先輩に差し伸べる。


煥先輩の手で、小夜子のツルギが輝き出した。


煥先輩は深呼吸して、告げた。



「月聖珠の預かり手を地上から解放しろ。代償は、そのチカラそのもの。不死《エターニティ》は地上にあっちゃいけない。

死なないのは、生きてないのと同じ。耐えられるやつなんていない」



ヒュッと風が鳴った。


ツルギがひらめいた。



煥先輩が小夜子の胸を貫いた。



代償が差し出されて、月聖珠が願いを聞き入れる。


違反者が命を落として、四獣珠の役割が果たされた。



運命の一枝が、最後の巻き戻しを起こした。


因果の天秤が均衡を取り戻す。


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