PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
白が、赤く染まっていく。
花嫁のドレス。
ブーケの白いバラ。
花婿のタキシード。
祭壇の白い床。誓いの言葉をしたためた書面。
祝福の白が鮮血の赤に染まっていく。
花嫁が倒れ伏した拍子に、結い上げた髪が崩れた。
この日のために初めて髪を伸ばしたと言って、花嫁は照れていた。
普段は男よりも男前な彼女だが、ドレス姿は花のように美しかった。
見開かれた花嫁の両目に、命の光はない。
そしてまた、花嫁のそばにうつ伏せた花婿も動かない。
手足のスラリとした長身に、整えられた栗色の髪の花婿は、柄にもなく緊張していると苦笑いでうつむいて、弟にからかわれた。
それがほんの数十分前の出来事。