PRINCESS SWORD―姫のツルギは恋を貫く―
寧々ちゃんがニマニマした。
「もしかしてー? 愛しの文徳《ふみのり》先輩のこと考えてた?」
「ち、違うの、文徳先輩じゃないから! わたしが好きなのは、あ……と、とにかくっ! 文徳先輩には彼女いるしっ!」
寧々ちゃんが目をしばたたかせた。
「文徳先輩、彼女いるの? ってのは、亜美先輩のこと?」
「うん、そう。お似合いだと思う」
「噂、ほんとなんだー。亜美先輩、めっちゃカッコいいもんね! てか、お嬢、開き直ってるね。憧れの人に彼女がいるってのに」
そっか。十五日の朝って、まだそういう段階だもんね。
わたし、瑪都流との接点がないんだ。
文徳先輩に憧れているだけで。